【ひかりペディア】演色性
演色性とは
演色性とは、ある光の下で色がどのぐらい正確に見えるかの尺度です。
色は光が反射する事によって見えているので、光源(自然光、蛍光灯、LED etc)の質によって物の色の見え方は異なります。
演色性のイメージ
(同じものでも光源によって見え方が変わる)
物の色は、太陽光で見たときに一番正確に見えます。
これはなぜかというと、太陽光の中にはすべての色の成分が含まれているからです。
太陽光にはすべての色が含まれている
(”色の成分”についての詳細は【ひかりペディア】光の分光をご覧ください。)
一方、太陽光と違い、人工的な照明では色の成分が少なかったり欠落していることがままあります。
その為、色の見え方に差が出るのです。
演色性を数値で表す
演色性という言葉と一緒によく登場するのが、RaやCRIという言葉です。
これは、演色性を数値で表現するときの単位のようなもので、ほとんど世界的に共通の指標です。
ある照明で照らした時に、色がどの程度正確に見えるかを100点満点で評価します。
数値化の仕方はこのような感じです。
”演色性を数値で表す”の基本イメージ
当然と言えば当然ですが、実際の評価ではりんごは使用しません。
基準として定められた複数の色を使って評価を行います。
そしてRaとCRIで、なにが違うかというと、評価する色の種類と数が違うのです。
Ra(Ri)について
Raは、日本語では平均演色評価数と言います。
色の見本は8色で、それぞれの色の数値の平均値でスコアを付けます。
Raの色見本8色
実際のスコアはこのように表示されます。
Raでの測定
これはRaのスコア(各色の平均スコア)でいうと91.8となります。
Raでの評価は世界的に普及しているのですが、色の見本自体がちょっと微妙です。
そのようなことから、Riという評価基準が生まれました。
Riは、日本語では特殊演色評価数と言われ、Raに7色を足したもので、しかも平均値ではなく各色の数値を別々に見ます。
Raの8色に7色を足したRiの色見本
実際のスコアはこのように表示されます。
Riでの測定
Riを使う事でRaよりも詳細に色の評価ができるようになりました。
Raでは測定できなかった赤色に、すこしウィークポイントがあることが分かります。
しかし、カタログなど限られたスペースにすべての色の数値は載せずらいのでRiはあまり使われていません。
そこで使われるのが、CRIという表記です。
CRIについて
CRIは、RaとRiを混ぜ合わせたような存在です。
色の見本の数は15色で、15色の平均スコアを100点満点で表記します。
CRIの色見本 色はRiと同じ15色
実際のスコアはこのように表示されます。
(Riと同じです。)
CRIでの測定
CRIのスコア(15色の平均スコア)でいうと92.3となりました。
演色評価の問題点
RaとCRIという評価基準は、世界的に普及しており、どの国のどのような照明でも同じ尺度で評価することがでるので、照明の検討や選定には非常に有用ですが、同時に問題点もあります。
問題というのは、やはり見本の色が微妙というところから来ていて、
「本当に、実用的な色の再現度が評価できているのか?」
という疑問が残るという点です。
太陽光の様に、全ての色が正確に表現される光では当然スコアが高くなりますが、
スコアが高い光が、きちんと正確な色を表現できるかは実は保証できないのです。
これは、試験勉強のヤマ張りが当たって高得点を出した人の学力が本当に高いのか?というのと似ています。
実際に照明を扱っている感覚としてRaやCRIのスコアが高い照明は全体的に演色性が良いことが多いですが、たまに正確性に欠けると感じるものもあります。
(逆に、演色性のスコアよりもより色がきれいに正確に見える場合もあります。)
そのようなことから、Ra、Ri、CRI以外にも演色性の評価の基準が、様々な評価方法(TM30など)が考案されていますが、
いかんせんRaとCRIがあまりにもメジャーで普及している為、どれもあまり使われないのが現状です。
(RaやCRIの色の基準がなぜこんなにも微妙な色なのかというのは詳しくはわからないです。ちょっと小耳にはさんだ話ですと、大昔にこの演色性の基準を一番最初に決めた際に、なるべく自社製品のスコアが高くしたいという大手メーカーの思惑が影響したとかしないとか…。)