2018オランダ・ドイツ見聞録(新LAC編)
2018年の3月にオランダとドイツに行ってました。
研修と展示会視察で行ったのですが、今回はその時の様子をレポートしてみようと思います。
レポートというよりは、雑感、雑記の類になるとおもいますが、よろしければお付き合いください。
それではどうぞ!
LAC(Lighting Application Center)とは?
LACとは、Philipsさんの「光の研修センター」の事で、ラックと読みます。
光の使い方、効果的な活用方法を、体感しながら学べる、けっこう大掛かりな施設です。
2015年から3年ぶりの訪問でした。
2回目の訪問ということで、正直理解を深めるためのおさらいぐらいかなぁ、としか行く前は思っていなかったのですが、
その考えは、いい意味で裏切られる形となりました。
光のトレンド、やユーザーのニーズ動向に合わせて内容が変わっていたのです(!)
光のトレンド?(ブルーライトの覚醒作用とサーカディアンリズム)
LEDのトレンドは、普及しはじめてからしばらくは、低コスト化と高効率化(省エネと明るさの両立)、そして演色性(物を照らしたときにどれだけ色が正しく見えるか)がLEDの重要なテーマでした。
しかし近年では、その方面の技術・性能改善のスピードは鈍化、市場としても各社性能はほとんど横並び、差異性がなくなってきていました。
そこで、
市場にとって、そして世の中にとっての新しい光の価値とは何だろう??
ということが意識されるようになりました。
その中で、業界的にホットなキーワードでもあり、
フィリップスが新しい価値の一つとしてピックアップしたのが、
・ブルーライトの覚醒効果
・サーカディアン
というものです。
光には、たくさんの色が含まれています。
そして、青の波長、
とくにブルーライトと呼ばれる特定の波長が注目されています。
よく聞く話では、
目の奥まで届いて目にダメージを与える
ということが有名です。
しかし、ブルーライトにはそういう悪面だけではなく、
良い面、良い効果もあるのです。
それが【覚醒効果】と呼ばれるものです。
よく健康と睡眠をテーマにしたお話で、
「朝起きたらまずお日様の光を浴びましょう、そうすると体内時計がリセットされて、パッチリ目が覚めます」
という内容の事を聞くと思いますが、
その
「体内時計がリセットされる」
「パッチリ目が覚める」
という体の反応の要になっているのが、
ブルーライトと、目の中にあるブルーライト用の受容体(センサー)だということが最近の研究で分かってきたのです!
イメージ図です
今までは、明るさと色を感じるセンサーのみが注目されていましたが、
今、第3のセンサー、ブルーライトを感じるセンサーが注目されています!
この、第3のセンサーがブルーライトを検知すると、
体内で眠気をつかさどるホルモン(メロトニンとセロトニンというそうです)の分泌に変化が起きて、
身体に「目を覚ませ!」という信号を送るのです。
これがブルーライトの効果です。
確かに長時間、近距離で、パソコンやスマホなどから発せられる
ブルーライトを見続けることが身体に与えるダメージについては
注意をする必要があるかもしれませんが、
そもそもお日様からは、パソコンやスマホの比ではない量のブルーライトも含めてたくさんの光が降り注いでいます。
要は使いようということです。
というわけで、詳しくこのことを説明をするために
「覚醒効果」からさらに話題は進んで、
「サーカディアンリズム」という言葉が出てきます。
で、サーカディアンリズムは何かというと、
ざっくりいうと体内時計っていう言葉に近い意味です。
えー、じゃあ体内時計って言えばいいじゃん、
という話になりそうですが、実はそうではないんです。
なぜかというとサーカディアンという言葉には、
体内時計という言葉とはちょっと違う、
深イイ意味があるからです。
詳しく説明しますと、
「サーカディアン」という言葉の中のサーカという部分は、サークル(円)から来ています。
なのでこの言葉のニュアンス的には、循環するもの、巡るものという雰囲気、意味合いがあります。
たとえるなら、
お日様が、
東から登って朝が来て、
世界が明るくなって、
そして西に沈んでいって、
夜が来る、
そしてまた東から登る
こういうイメージですね。
そして照明を語るうえで、
このサーカディアン、循環という部分で特に大事になるのが、
その中での光の成分の移り変わりです。
朝日が昇って、だんだん空が明るくなり、お昼に向けてお日様の色がオレンジから白に変わっていく…。
この時に実は光の成分も変わっていて、
実は、だんだんと目を覚ます効果があるブルーライトの量が増えていくんです。
先ほど説明した通り、人の目を覚ます効果がある光の成分ですね。
そして夕方に近づくと、また光はだんだんとオレンジに変わって、
ブルーライトは減っていく。
人間の体内時計は、このお日様のリズム、
サーカディアンリズムに深く関係しているんですね!!
そして、「このリズムを積極的に、室内の照明に取り入れよう!」
というのが、照明におけるサーカディアン(サーカディアンリズム)です。
写真だと伝えきれないのですが、
こういったオフィス環境などでもこの考え方を生かすことが出来ます。
シャキッと集中したいときは、ブルーライトを多めに含んだ明るい白い光、
お昼休みなど、リラックスのための時間には、明るさを抑えたやや黄色っぽい光
こんな風に、光が、仕事の効率化や職場の活性化のチカラになるわけですね。
ちなみにこのブースの照明はスマホで操作できるようになっていました。
そして、さらに一歩進んだ話をすると、
照明だけではなく、窓のブラインドなどもIOT的に連携させて、
外光を上手く取り入れることで、
こういうサーカディアンリズムと、
省エネ、仕事の効率化をいっぺんに達成することも可能となります。
これが最近提唱されている、
「未来の照明がどのように世の中に価値をもたらすか」
の一つの例なのです。
光の違う未来(IPSってなんだ?!)
今紹介したのが、光の業界全体的にホットな話題、
ブルーライトとサーカディアンリズムでしたが、
そこは、光の老舗であり世界のリーディングカンパニーであるフィリップス、
それだけでは終わりません。
その他にも様々な試みが進行中でした。
その中で特筆すべきものが、
IPS
でした。
ちなみに、光のIPSは万能細胞ではありません。
(とはいえ、たぶん意識はして名付けてると思いますが…。笑)
で、これは何かというと
I…Indoor(屋内)
P…Positioning(位置測位)
S…System(機能)
の略で、
この照明がある建物の中では、
スマホで自分がどこにいるかがすぐ確認できるのです。
うーん、ちょっとわかりづらいですかね…?
ともかく、これがIPSの機能を持った照明です。
一見普通の照明に見えますが、とっても高性能!
ものすごーくおおざっぱに言うと
照明自体がレーダー波のような役割を果たします。
もうちょっと詳しく言うと三角測量とおなじ仕組みだそうですが、
その三角測量自体があまりピンときません。笑
というわけで補足です。
そしてこのIPSの面白い所は、
商業的にいろいろな使い方ができるところです。
例えばスーパーマーケットなどでは、
位置を知らせるだけでなく、特売品を紹介したり、
クーポンを発行したりといった感じです。
面白そうでしょ??
しかも、すでに現地では、小売り販売店と共同で実験店舗をオープンさせていました!
IPSの実証実験店舗!
というわけで行ってみました。
実証実験店舗!
海外の事なんで良く知らないんですが、
このエデカパッシュマンというスーパーは現地ではかなりの大手だそうで、
立派なサイズの店舗でした!
店舗の中はこんな感じ。
一見ただの普通の照明…。
しかし、スマホのアプリを立ち上げてみると…
おおっ!
地図に自分のいる場所が正確に出る!!
そして、位置情報を普通のスマホで測位するので、
前述の通り、クーポンの発行、特売品のおすすめなど
様々な機能と連携させたサービスも可能です。
この端末はワインのコーナーにありました。
スマホの画面を読み取らせることで、
ワインをどうにかこうにかできるみたいです。
(字が読めなくて、何ができるかはちょっとわからなかったですけど…笑)
この四角いのもIPSタイプの照明です。
位置やお知らせがバッチリ出ました。
小さい店舗では、ご利益があまりないかもしれませんが、
大規模の店舗には向いている試みだと思います。
(日本にもイケアとかコストコとか、大規模タイプの店舗がけっこうありますよね。)
行くたびに新しい驚きがあるLAC、
2018年の訪問時のレポートでした!
それでは!
おまけ
ルミナスカーペット
何の変哲もない、タイルが…。
ワォ!光っちゃう!!
ユニット構成はこんな感じ。
ライトユニットの上に光を透過しやすいタイルカーペットやタイルを張り合わせることで、
面白い照明効果を生み出す、フィリップスの新製品でした!